進化するデータロガーの「今」と「これから」

Future of Dataloggers FI

進化するデータロガーの「今」と「これから」

データロガーとは、センサーから24時間ベースで自動的にデータを収集するシンプルかつ堅牢なデバイスのことで、一般的にサンプルレートは1Hz以下で用いられます。

しかし、近年Society 5.0へと向かう中、サンプリングされるデータ量とその保存速度の大幅な向上が必要とされています。

データロガーの定義

データロガー(データレコーダー)は、ビルトイン型ないしは外付け型の機器やセンサを介して、時間や場所が関連付けされたさまざまなデータを記録するデバイスです。一般的には小型の電池式で持ち運びが可能、マイクロプロセッサとデータストレージ用の内部メモリを備えており、中にはセンサ付きのものもあります。最近ではデジタルプロセッサ(またはコンピュータ)をベースにしたものも増えてきています。

データロガーは基本的に置きっぱなしで使用するデバイスなので、アプリケーションにもよりますが電池などの直流電源で駆動します。補助電源として太陽光発電が利用されることもあり、概してデータロガーはコンピュータに比べて電力効率が良いとされています。

また多くの場合、データロガーはコンピュータがまともに機能しないような過酷な環境条件下で運用されるため、きわめて高い信頼性が要求されます。

人間の監視がほとんど行き届かない環境や遠隔地に設置され、長期間ノンストップで使用されつつも、電力が供給されている限りはどんな場合でもデータロギングに失敗しないことが不可欠です。

そのため同じアプリケーションの汎用コンピュータに及ぼしかねない(プログラムのクラッシュやオペレーティングシステムの不安定性など) 外的影響を、データロガーはほとんど受けることがありません。

未来のデータロガー

データロガーはかつてないほど急速に進化しています。これまでのスタンドアローン型のデータロガーがネットワークに接続され、イベントの警告、データの自動レポート、そしてロガー自体のリモートコントロールができるようになっています。また、リアルタイムでのログの読み取り、キャッシュなどが見えるWebページが提供される製品も登場しています。 

インテル副社長の Asha Keddy氏によると、毎年、世界で生成されるデータ量は、2019年は40ゼタバイトでしたが、2022年には175ゼタバイトまで増えると予測されているとのことです。1ゼタバイトは1兆ギガバイト、175ゼタバイトはYouTube動画データ量の約54億年分に相当します。

これまでは信頼性と低消費電力だけがデータロガーに求められる条件でしたが、今日では高パフォーマンス、低消費電力、高信頼性が必須となっており、これに伴いシンプルなデータロガーをHPECへと置き換えるニーズが高まっています。

Case Study:  鉄道におけるスマートデータロギング

ヨーロッパ最大の鉄道貨物運営会社のDB Cargo社(ドイツ国営鉄道貨物事業部門)は、スマートデータロギング・アプリケーションの戦略的パートナーにEurotechを選定しました。Eurotechが求められたタスクは、エンドツーエンドのアーキテクチャを実装し、DB Cargoの鉄道車両のリアルタイムステータスを取得するというソリューションの実現でした。

鉄道輸送アプリケーション向けのIoTアーキテクチャと、組込みハードウェア・サブシステムの知見を融合させることにより、Eurotechはオンボードのハードウェアとソフトウェア、及びスマートデータ・ロギングアプリケーションとエッジコンピューティング用のオフボードツールを有するエンドツーエンドのソリューションを提供しました。さらにEurotechのオープン・統合・管理といった3つの特長を持つIoTインフラストラクチャ「Everyware IoT」の導入によって、DB Cargoはエッジツークラウドのデータ通信とデバイス管理システムの構築に成功しました。

DB Cargo のメンテナンス・プロジェクトの最高責任者であるThomas Pohl氏は次のように述べています。「Eurotechのソリューションが提供してくれるデータは品質が高く、当社のユーザーやデータサイエンティストはとても満足しています。標準的なテレマティックシステムとIoTプラットフォームで、我々が必要としている機能のほとんどを実現できるのです。Eurotechは素晴らしい仕事をしてくれています!」

※上記は過去の記事の抜粋になります。続きを読みたい方は下の写真をクリックしてください。

HPEC

EurotechのHPEC (High Performance Embedded Computing) ボードおよびシステムは、「スーパーコンピューティングの性能をエッジに」というコンセプトのもと、より速いデータアクセスとデータ管理でエッジAIを実現するために開発されました。

HPC(High Performance Computing)の性能をデータセンターからフィールド・アプリケーションへ移行させるということは、高度な演算機能を維持しながら、スペースや重量、消費電力を削減し、堅牢性と信頼性は向上させることを意味します。

EurotechのHPECボード及びシステムは、ファンレスで堅牢設計のため、自動運転などのハードな環境での組込みアプリケーションにも最適です。

What is HPEC

EurotechのHPECシステムは、データセンタークラスの性能をフィールド・アプリケーションに展開できるように設計されており、大きな特長としては高い電力効率、コンパクト設計、高信頼性が挙げられます。

水冷システムやファンレス、ベントレスといった革新的な機能を、堅牢型の筐体に実装することにより、厳しい環境下で利用される組込みアプリケーションにおいても、信頼性の高いパフォーマンスを発揮します。

データ収集ポイント(センサーやその他のデバイス)に、より近い環境でクリティカルなコンピューティングを実行できる最適ソリューションとして、リアルタイム・プロセスによるデータ分析や、それに基づくビジネス上の意思決定を加速させることができます。

DynaCOR 40-35: Eurotechの堅牢型SWaP最適化データロガー

DynaCOR 40-35 は最大123TBのNVMeストレージ、64 Gb/sの持続書き込み速度、そして100 Gbsインターフェースが特長で、センサー、カメラ、RADARあるいはLIDARから高速RAWデータが転送されるデータ集約型アプリケーションのセンサーフュージョンをサポートします。

DynaCOR 40-35はプリコンフィギュレーションおよびカスタム設定が可能で、輸送、防衛、産業などに求められる要件を満たすことができます。また、Eurotechのプロフェッショナルサービスでは、各アプリケーション専用の周辺機器や、CAN、カメラリンク、MIPI CIS2など超高速カメラ/RADAR用のインターフェイスのほか、追加アプリケーションの認定取得サポートサービスなども提供しています。

高い信頼性を持つ DynaCOR シリーズは、これまで製造現場やモバイル設備などの厳しい環境条件下において運用されてきた実績があります。 DynaCOR 40-35 はEuroteh のHPEC製品でもあるため、 車載用HPECサーバーの DynaCOR 50-35 や高性能スイッチ DynaNET 100G-01 / DynaNET 10G-01 などの製品との統合はもちろん、高性能コンピューティング、データロギング、ネットワーキングアーキテクチャを構成し、設置場所に制約があるエッジアプリケーションでも存分にそのパフォーマンスを発揮します。

この DynaCOR 40-35 独自の先進的な冷却システムは、環境条件に関係なくすべての内部コンポーネントを理想的な温度に保ちます。従来のファンベースの冷却システムと比べてはるかに優れた安定性と密度が確保できるため、空気の流れが乏しいくぼみ部分や、ファンの動作音を良しとしない用途でも使用が可能です。

さらに、9-58 VDCのワイドレンジ電圧に対応し、内部の管理システムと監視ユニットでセーフブート、オペレーションおよびシステムシャットダウンをサポートしています。また、輸送アプリケーションに求められるような拡張温度、耐振動、耐湿度、不安定な電源供給にも対応できるように設計されており、関連認証を取得しています。

特長

高パフォーマンス・ネットワークストレージ

最大123TB ストレージ @64Gbit/s 書込速度、2x 100 GbE & 4x 10 GbE インターフェース

ヘビーユーズを支える堅牢性

自動運転やその他の堅牢型アプリケーション向けの電源システム、完全ファンレス仕様、E-Markなどの衝撃/振動関連認証により高信頼性を保証

液体冷却システム

統合型液冷技術で実現されたコンパクト・ファンレス・ベントレスユニット

車載向けシステム

ドッキングステーション(オプション)でシステムを車両から簡単に引き出し、データセンターへの持ち込みが可能

プロフェッショナルサービス

モジュラーデザインによるアクセラレータ、ストレージ、ネットワークモジュールの選択と統合のほか、さまざまなカスタマイズに対応

詳細

DynaCOR 40-35は、液体冷却機構を採用したコンパクトで堅牢型のHPECネットワーキングストレージシステムです。Intel D2100シリーズプロセッサを内蔵し、64GB ECC RAM、2x 100 GbEと4x 10GbEインターフェース、および最大16の高性能NVMeを備えています。あらゆるヘビーユーズのアプリケーションに適応できるよう耐衝撃、耐振動を前提に設計されており、E-Markなど車載アプリケーション向けの認証を取得しています。

DynaCOR 40-35の内部アーキテクチャは、CPUカード1枚、計96の PCIeレーンスイッチに接続された5つの内部ベイNVMeとネットワークモジュールで構成されています。

標準的なコンフィギュレーションでは、31 TBから123 TBまでのRaw容量をLinux RAID或いはAdvanced RAIDで提供しています。また、すべてのコンフィギュレーションでビデオ出力と、UDR (Untethered Dead Reckoning – 正確な位置情報及びタイムスタンプを提供) をサポートするGNSS, そして12VDC/48VDCの車載用電源に対応しています。さらに内部のシステム管理/監視ユニットがシステムのセーフブートからオペレーション、シャットダウンまでを保証します。

 

最もリッチな構成でも消費電力はわずか350 Wで、電源部は 最大500 Wの電力ピークに耐えられるように設計されています。

※入力電圧範囲は36〜58 VDC(公称48 VDC)或いは9〜18 VDC(公称12 VDC)

DynaCOR 40-35は、車両の液体冷却システムとのインターフェースを可能とした革新的なテクノロジーにより、完全なファンレスで可動部品がありません。すべてのコンポーネント(CPU、RAM、NVMes、電源)と密着したコールドプレート内を冷却剤が循環し、高い放熱性を実現しました。従来のガソリン車はもちろん、電気自動車、ハイブリッド車など幅広い車両への展開を大幅に簡素化できます。

データセットをすぐに利用したい場合には、ドッキングステーション(オプション)で、データセンターで簡単に交換或いは転送が可能です。

また、Eurotechのプロフェッショナルサービスでは、ユーザー様が選択された拡張モジュールとの統合と検証を含むカスタマイゼーションに対応しています。