TSN

Time Sensitive Networking (TSN)とは

産業用ネットワークでは、重要なプロセスデータを伝送するために、リアルタイム通信が不可欠です。データロードが増大している今日、すべてのリアルタイム関連データがネットワーク上に時間通りに到着できるよう保証することは、ますます重要になっています。

こうした背景から、産業や鉄道などの分野において、タイムセンシティブネットワーキング(TSN)技術への注目度が高まっています。これは、時間同期とデータストリームの優先順位付けを実装する新しいイーサネット技術であり、収束型ネットワークの構築を可能にするものです。

TSNを用いてシステムを構築すると、アプリケーションは他の通信を妨害することも妨害されることもなく、システム全体のリアルタイム性を強化し、ネットワークの信頼性が向上します。

TSN技術は、このような利点を有しています:

  1. レイテンシの最小化:TSNは、様々なデバイス間でデータを同期させることにより、遅延を最小限に抑え、重要な情報を遅延なく迅速に配信することを保証します。
  2. 信頼性の向上:TSNプロトコルは、ファクトリーオートメーションやビデオストリーミングなど、ダウンタイムが許されないアプリケーションに不可欠な、信頼性の高い決定的通信(Deterministic Communication)向けとして特別に設計されています。
  3. 高度なセキュリティ:TSNはセキュリティを強化するために、暗号化、認証、認可を含むさまざまな技術を採用しています。さらに、TSNはパケットのタイムリーな配信を保証するため、独自のタイミング・メカニズムを組み込んでいます。
  4. デバイス間の効率的なリソース共有により、効率の向上、コストの削減、リソースの最適利用を実現します。

より正確には、TSNは、イーサネット・ネットワークがリアルタイムで時間に敏感なアプリケーションをサポートすることを可能にする一連のIEEE規格を指します。これらの規格のうち、最も関連性の高いものをみていきましょう。

IEEE 802.1Qbu & IEEE 802.1Qbv – フレーム先取りとタイムアウェア・シェイパー

IEEE 802.1QbuとIEEE 802.1Qbvの両規格はTSNを構成する中でも重要なもので、この技術の効率と信頼性を高める上で極めて重要な役割を果たしています。

フレーム先取りとタイムアウェア・シェイパー
図 1 フレーム先取りとタイムアウェア・シェイパー・画像出典:TAILYN Technologies, Inc.

IEEE 802.1Qbu – フレーム先取り

フレーム先取りに対応するIEEE 802.1Qbuであるタイムリーでクリティカルな情報を提供するというTSN技術の主要な核となります。優先順位の高いフレームを先渡ししなければならない場面で、この規格は優先順位の低いフレームの送信を中断してくれます。そのためIEEE 802.1Qbuは、産業オートメーションなどの時間にシビアなアプリケーションの待ち時間を最小限に抑え、最適な応答性を実現します。

IEEE 802.1Qbv – タイムアウェア・シェイパー

TSNを文字通り「タイムセンシティブ」なものとするために、IEEE 802.1Qbv規格によってタイムアウェア・シェイパーが導入されています。フレーム伝送に特定のタイムスロットを割り当てることで、IEEE 802.1Qbvは決定的なスケジュールを確立し、重要なメッセージの配信タイミングを予め知ることを可能にします。

IEEE 802.1CB – シームレスな冗長化で信頼性を向上

今日のスマート・ファクトリーは、ネットワーク障害を防ぐために冗長性メカニズムを用いる必要があります。なぜなら、通信ネットワークの障害や中断を完全に防ぐことは不可能だからです。ケーブルやコネクタの故障、電源装置の故障、短期的なメンテナンスのシャットダウンなどによって、通信障害や中断は発生します。

IEEE 802.1CB規格は、ネットワーク内のシームレスな冗長管理を提供することによって通信の中断を防ぐという、TSNの中でも極めて重要な部分を構成します。この機能により、リアルタイム・アプリケーションの厳しい要求を満たす弾力性のあるTSNアーキテクチャが保証され、重要な通信が中断することなく伝達されるようになるのです。

IEEE 802.1CBは、ネットワークの課題に応じて代替経路への迅速な移行を可能にし、ダウンタイムを最小限に抑え、継続的な通信を保証します。そのため、TSNは産業オートメーションや自動車用ネットワークなどの業界に堅牢なフレームワークを提供することが可能になります。

IEEE802.1CBの提供する冗長性
図 2 IEEE802.1CBの提供する冗長性・画像出典:TAILYN Technologies, Inc.

IEEE 802.1AS – 高精度タイミング機能

IEEE 802.1ASプロトコルは、ネットワーク内のすべてのデバイス間で正確な時刻同期を確保する上で重要な役割を果たします。この規格によって、タイミング要件の厳しいアプリケーションでの協調動作を容易にする共通の時間基準が確立されます。

IEEE 802.1ASは、ネットワーク内のデバイスが同期して動作することを保証するために、PTP(Precision Time Protocol)などの同期メカニズムを採用しています。PTPは高精度クロックの分散配布を容易にし、ネットワークノードが1マイクロ秒(μs)未満の精度で同期動作することを可能にします。PTPの高精度クロックの統合は、イベントベースの制御とは対照的に、時間ベースによるアクション制御を可能にし、完全にデカップリングされた通信をもたらします。

この規格は、タイミングの不一致がパフォーマンスに大きな影響を与える産業オートメーションやオーディオ・ビデオ制作などの業界では特に不可欠です。IEEE802.1ASは、同期化された環境を構築し、多様な産業にわたる時間に敏感なアプリケーションのパフォーマンスを最適化します。

Precision Time Protocol (PTP)
図 3  Precision Time Protocol (PTP)・画像出典:TAILYN Technologies, Inc.

ここまで、TSN技術を構成する主要な4規格を紹介しました。

TSNは、時刻同期を達成するための構造に加え、冗長性等のリスクマネジメントも内包し、より高度かつシビアな要求にも対応するために開発されています。産業用機器の通信システムを更新される場合は、是非TSN対応製品の採用をご検討ください。

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