イタリアのラジオ局「Radio Uno」が弊社社長にインタビュー:半導体の状況とNECとのコラボレーションについて

2021年4月27日、アドバネット社長ルドヴィコ・チフェッリが、イタリア国営放送のラジオチャンネル「Radio Uno」のインタビューを受け、半導体業界の最近の動向について語りました。

大掛かりな設備変更を必要とせず、少ない投資で工場の「再生」に寄与する新製品、「ExpEther」の開発に関するNECとのコラボレーションについてもインタビューの中で触れています。

インタビューの全文(イタリア語)は、次のリンクより聴取できます:https://www.raiplayradio.it/audio/2021/04/Intervista-a-Ludovico-Ciferri-Presidente-di-Advanet—azienda-del-gruppo-Eurotech–fe51f274-7924-40ce-8a57-d5a02df696cf.html

NECに言及している部分については、0:10:15までスキップしてください。

インタビューの和訳は下記を参照してください。

ラジオパーソナリティ

今回のテーマは半導体に関するものですが、ここ最近よく耳にします。それは、首相のマリオ・ドラギ(イタリアの首相)が半導体について語ったことに始まります。半導体部品の需要が高まったことで、イタリアの電子メーカーが中国メーカーに売却されることを防ぐため、有名な「黄金律」を課すという政府の決定がなされました。

様々な理由で話題になっています。新聞記事では、半導体不足により世界で生産されている200万台の自動車に影響が出たこと、部品の入手困難により発売間もないプレイステーション5が買えなくなったことなど、毎日のように警鐘が鳴らされています。

また、アップル社がドイツのミュンヘンに大規模な半導体設計センターを立ち上げ、ヨーロッパのシリコンバレーとする準備を進めている、というニュースもありました。

今回は、この半導体の問題について、何が真実で何がそうでないのかを理解するために、この分野で活躍するイタリアの技術集団「Eurotech」の傘下にある日本企業「アドバネット」の社長、ルドヴィコ・チフェッリ氏に話を聞いてみました。

チフェッリさん、こんばんは、Zapping(ザッピング)へようこそ!

 

チフェッリ

こんばんは。

 

ラジオパーソナリティ

半導体を一言で言うと何でしょうか。

 

チフェッリ

半導体デバイスは、主にシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素などの半導体材料の電子的特性を利用した電子部品です。自動車、飛行機、ミサイル、エアコン、携帯電話など、さまざまな機器に搭載されています。

 

ラジオパーソナリティ

その希少性への警鐘は本当なのでしょうか。それとも誇張されているだけなのでしょうか。

 

チフェッリ

確かに、トヨタやフォルクスワーゲンなどの大手自動車メーカーの生産ラインで、半導体が不足して生産に影響が出ました。

半導体不足の要因は、コロナ渦で携帯電話やモデム、パソコンを使ったリモートでのコミュニケーションが増え、半導体が使用されているこれらの電子製品の需要が高まったことにあります。自動車の需要は再開したにも関わらず、自動車向けの半導体が不足してしまったのです。

 

ラジオパーソナリティ

チフェッリさん、非常に驚いたニュースを読んだのですが、市場で半導体が不足している主な原因の一つが、台湾の台風や干ばつだそうです。それについてはどのように説明されますか。

 

チフェッリ

テキサス州では吹雪のために電力不足で生産ラインが停止し、日本でもルネサスで火災が発生して2ヶ月間生産が停止しました。しかし、それだけではこれらの状況を正当化できませんから、先に述べたような原因によるところが大きいです。

 

ラジオパーソナリティ

私が台湾を挙げたのは、台湾が世界のマイクロプロセッサー製造の首都と言われているからですが、合っていますか。

 

チフェッリ

それは、台湾の大手企業「TSMC」が、世界で生産されている低ナノメートルのマイクロプロセッサーの約80%を占めているからであり、言うまでもなく市場のリーダーという位置付けになるでしょう。特に10ナノメートル以下の市場では。

「TSMC」は台湾の新工場が完成間近で、約1年後には米国アリゾナ州にも工場を開設する予定です。Samsungと並んで、ナノメートル単位のマイクロプロセッサーを生産する2大メーカーで、これに続くのが「Mubadala」が出資する米国企業の「GlobalFoundries」です。

 

ラジオパーソナリティ

ではなぜ半導体に政治的な話が出てくるのでしょうか。この分野での覇権をかけた世界規模での争奪戦が行われているのでしょうか。

 

チフェッリ

まさにその通りで、新しい世界秩序が作られています。

実際、欧米諸国では半導体不足のために産業全体が停止するような事態は避けられません。10年前、37%もあった米国製のマイクロプロセッサーは、現在12%以下、欧州では10%以下になっていることを思い出していただきたい。産業チェーン全体の生産を保証するためには、マイクロプロセッサーのサプライチェーンを安定させる必要があります。ではどのようにすればいいのか。アジアだけではなく、さまざまな国に生産能力を分散させるのです。

 

ラジオパーソナリティ

中国は業界のリーダーになろうと努力していますが、今のところ成功していないという記事を読みました。何故でしょうか。

 

チフェッリ

確かに中国は目を見張るものがありますが、比較的短期間で達成できる技術的マイルストーンだったからでしょう。一方、半導体分野では、(専門家によると)もう少し時間が必要で、その間に米国が中国の追い上げに気付き、まずトランプ政権が、次にバイデン政権が半導体分野の生産や研究に使用される機密技術の中国企業への転用を禁止したため、中国の追い上げに事実上の減速をもたらしたのです。

 

ラジオパーソナリティ

結局、ドラギ首相の決定は小さなことでしたが、この大国との衝突の中で、ヨーロッパとイタリアはそれぞれの役割があるのでしょうか。もしくはそれぞれで役割を作っていくのでしょうか。

 

チフェッリ

私はヨーロッパが役割を果たすべきだと考えますが、ただしそれはヨーロッパにマイクロプロセッサーの生産拠点を置くということではありません。非常に単純な理由です。投資の順番が重要なのです。

現時点で、米国インテル、台湾TSMCに欧州の復興資金総額の約50%が充てられています。これはマイクロプロセッサーに限った話です。つまり、戦略的だが単一的ではないこの分野に、復興資金のかなりの部分を充てるべきだと考えているのです。

一方、ヨーロッパには、マイクロプロセッサーの設計など、資本集約的ではない専門分野があり(ARMがイギリスの企業であったことを忘れてはならない)、その意味では、マイクロプロセッサーの設計の専門知識を持ち、必ずしも製造にまで至らない非常に興味深いヨーロッパ企業も存在します。

また、既存の生産ラインをアップグレードすることで、ヨーロッパには他にも大きな可能性があります。今日、誰もがマイクロプロセッサー(5ナノメートルや7ナノメートルのもの)に注目していますが、実際、自動車には40ナノメートルから50ナノメートルのマイクロプロセッサーが使われています。これらは「旧世代」と定義されているものの、基本的な機能は備えており、まだ需要があります。これらには改善の余地があり、それが欧州産業の強みの一つでもあります。

 

ラジオパーソナリティ

私の理解が正しければ、設備や機械のデジタル化を飛躍的に進めたいと考えている欧州の中小企業にとって、とても興味深いことなのでしょう。

 

チフェッリ

今日、新しい設備を買おうと思っても、注文が殺到しているので数年は待たなければなりません。唯一の解決策は、高まる需要に応えるために既存の生産ラインを可能な限り改善し、デジタル化することに集中することです。私たちアドバネットがNECと共に彼らの技術を利用して開発した製品はこのソリューションの方向性に沿ったものです。既存の生産ラインをダウンタイムなしに少ない投資で改善できます。もちろん、可能であれば生産ラインを全面的に変更した方が良いのですが、必ずしもそうはいかないので、既存の生産ラインを改善することが唯一の解決策となります。これは段階的なイノベーションであり、日本ではうまく機能していると思いますので、イタリアやヨーロッパでもうまく機能する可能性があります(私の意見ですが)。

 

ラジオパーソナリティ

半導体の希少性や必要性を訴えることは、短期的に生産過剰や市場危機を引き起こす危険性があるのではないでしょうか。

 

チフェッリ

確かに供給過剰のリスクはあります。数週間前、TSMCの会長は「供給過剰の状況になるので、生産設備の能力を高めるための資本投資を減速するように」と、心のこもった口調で欧米諸国に対し求めました。というのも、台湾とTSMCは今や不可欠な存在となっており、数年後には1000億ドルを投じて生産能力を拡大する予定で、この生産能力が需要に吸収されなければ大きな問題となるからです。彼らにしてみれば、需要と供給の安定化のためには、あと半年、1年、2年(あるいはそれ以上)、様々な産業分野が苦境に立たされた方が良いと考えているのでしょう。

 

ラジオパーソナリティ

最後に、AI分野に関連する半導体について理解したいのですが。

 

チフェッリ

三位一体と考えていいでしょう。AIは、失礼を承知で簡単な言葉で表現しますが、収集したデータに意味を持たせる機能があります。今日、このデータはIoTによって相互に接続されている複雑なデバイスやセンサーによって収集されています。データ自体がビッグデータの複合体を構成しており、それを「いくつかの」ソフトウェアのラインにすぎないAIが処理しなければなりません。このAIは、エネルギーを大量に消費するプロセッサを搭載した機械やコンピュータ上で実行されなければなりません。このビッグデータ、IoT、AI、そしてHPCマシンのセットは、基本的な全体像であり、他のすべての分野と横断的な関係にあるため、他のどの分野よりも検討すべき戦略的分野なのです。輸送のサプライチェーンといっても、エレクトロニクスのサプライチェーンのような横断的なものではありません。だからこそ重要なのです。